2015年10月2日金曜日

誉めたら伸びるんじゃなかったの!?というお話

誉めて伸ばすってよく言いますよね。私は自分で誉められて伸びるタイプだと思っているので、結婚して間もない時、夫に「誉められたら伸びるから、たくさん誉めてね」と言ったほどです。

実際、子育てしていると、子どもに「ママ、見て!」なんて言われて、「すごいね」「上手だね」と言ったり、子どもが言うことをちゃんと聞けたときや、ごはんを全部食べられた時に、「えらいね」「よくできました」なんて言うことはよくあると思います。

そうやってどんどん誉めてあげれは、子供に自信を与え、能力を伸ばせる、そう思ってました。


でも、実は子供にそれらの誉め言葉をかけると、伸びるどころか、伸び悩む原因になると言うんです。


1.誉め言葉で自信を失う


こんな研究がありました。

学生をたくさん誉めるグループと誉めないグループに分けておきます。たくさん誉められた学生は先生からの質問に答える時に、「え〜、◯◯ですか?」と語尾を上げて自信なさげに答え、先生に否定的なことを言われると、すぐに答えを取り消す傾向があったそうです。

これは、誉められ続けることで、自分が正しいかではなく、大人に正しいと思われるかが気になるようになってしまい、良し悪しの判断を他人に依存することになるので、結果的に自信を無くしてしまうためだとか。



2.興味を失う


例えば、小さな子が絵を描いて持ってきたとします。その絵を見て、ママが「上手だね」と言うと、その子は元々は絵を描きたいと思って始めたのが、段々と「もっとママに誉められたい」に、目的が変わってしまいます

誉め言葉は中毒性があると言われていて、一度誉められると、もっともっと誉めてほしくなります。すると、最初の1枚は心がこもっていたのに、段々と殴り書きのような絵を持ってくるようになります。

実は私も娘で全く同じ経験をしたことがあるんですよね。絵を描くのではなく、最終的に、紙切れをどんどん私のところに運んでくるだけになり、ついには私も誉め言葉を掛けようがなくなると、娘も他のことをしだしました。

もともとは興味や動機が娘の中に芽生えていたはずだったのに、安易な誉め言葉で、その芽をつんでしまったってことですよね…


3.誉め言葉で、出来も悪くなる


誉め言葉をかけると、「次もまた誉められたい」という気持ちが、「次回も上手くやらなければいけない」というプレッシャーに変わり、次の取り組みにつまづく傾向がある、ということもわかっています。

特に工作やお絵描きのような、創造的な活動では、そのプレッシャーが創造力や大胆な発想の邪魔をするため、よい作品ができないとか。




誉めて伸ばすはずが、これはまずいですよね(^_^;)



じゃあ、どうすればいいの!?


幼児教育上でちょくちょく話題になるモンテッソーリ教育は、このような理由で「えらい」「すごい」「よくできたね」などの褒め言葉を避けるようにしているそうです。

じゃあ、誉める代わりにどうするか、というと…

①なにも言わずに微笑んでうなずく
②見たままの状況を語る
③子ども本人について語る
④多くを語らず子供から話を引き出す
⑤◯◯で嬉しいなどの言い方をする


ということで、①はわかるとして、それ以外について具体例を挙げると:

★絵を持ってきた子に対して、
・赤と青を使って描いたのね
・ママのことを描いてくれて嬉しい
・ずっと一生懸命描いてたから、何を描いてるのかなと思って見てたのよ

★縄跳びが飛べた子に対して、
・つまずかずに飛べたね
・ずっと練習してたのを知ってるから、飛べるようになってママも嬉しい
・あなた、とっても嬉しい顔してるわ
・ずっと見ていたよ
・びゅんびゅんって音がして、気持ち良さそうに飛んでたね

のような感じです。


こうして見ると、「すごい」とか「えらい」とか「よくできたね」って、これらの声掛けに比べてすごく空虚な気がしませんか?

実際、私も忙しく家事をしてる時なんかは、ちゃんと見もしないで、「すごい」とか適当に言ってしまう時があり、反省します。

私自身が子供の時も、母に「見て!」と言っても、ろくに見もせずにいい加減な受け答えをされて、よく腹を立てたものです。そう考えると、こういった誉め言葉は、大人にとって都合がいい言葉である一方、心がこもっていないことは、ちゃんと子どもに伝わってしまうのかもしれません。

学生時代、テストで良い点をとって母に見せても、ろくに答案を見もせずに「すごいね」と言っていた母。私は、母にもっと誉めてほしいという思いから、勉強を頑張ったものです。

何年か前に、母に当時の話をしたら、母は「そんなはずない。私は誉めて伸ばす子育てがモットーだから、ちゃんと褒めていたはずだ」と言って、一向に話が噛み合わず、不思議だなと思ってました。

でも、なんかわかった気がします。

「誉める」という行為は、私と母で明らかに意味が異なってたんでしょうね。言葉の上では褒めていたつもりの母。私は、実際は誉めてほしかったんじゃなくて、もっと私のことを見てほしかったんだなって、今になって思います。


「すごい」「上手」って言わないのって、案外大変ですが、安易な声掛けに頼らず、できるだけ意識して子どもと向き合っていきたいです。





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